正確なら沢山のサンプルを行う必要はない

 もし、正確に網羅的転写産物の発現プロファイルを取ることができたとしたら、実験計画としてはなにを考えれば良いのだろうか。

候補を絞るためにどのような実験を行うのか?

 発現プロファイルは正確に取れるのだから、結果変動遺伝子群の中に、現象に関連している遺伝子は必ず含まれている。となると、多くの変動遺伝子群からどうやって本物を取り出すかが最大の課題となるのでしょう。その解決方法のひとつは遺伝子のアノテーションを使って絞り込む方法である。が、アノテーションは既知の情報であるので、それを使って新規の情報を得ることができるか?という問題もある。わたしは、アノテーションで絞り込むのではなく、当然のことなのかもしれないが、候補を多く出さないようにする、または、多くの候補から一定の挙動を示すものだけを取り出し絞り込むことができるように、どんなサンプルをどのように比較するのかをよく検討して、網羅的な発現解析を行うことではないかと考える。
 たとえば、個体差が多く出てしまって、候補遺伝子の数が多く出ることが予想される場合は、3個体以上比較して、各個体の各サンプルに条件を振るようにする。正確にプロファイリングが取れるなら、振った条件に従って、期待される発現変動を示した遺伝子を候補とすれば、本物を拾う確立はぐっとあがるはずだ。
 注目している現象が細胞や組織の形状の変化を伴うような場合、形状が変化する前と後でプロファイリングを取って比較してしまうと、プロファリングが正確であれば、形状の違いに関する変動遺伝子を検出してしまう。よって、正確にプロファイリングを取ることができるなら、形状が変わらないときのポイントでプロファイリングを取る必要がある。しかし、形状の変化が見られないわけだから、どのポイントで取るかが正確にはわからない。そういう場合は、ポジティブコントロールがあるならそれを使って、ないのであれば、感度が低いが網羅的がプロファイリングを取る手法を使って、どの細胞内で変化が起き始める点を見極めた上で、その前後でプロファイリングを取って比較すれば良いのではないだろうか。
 そうやって考えると、正確にプロファイリングが取れるのであれば、サンプル数はそんなに必要ではないということになるのではないだろうか。

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