されどABO遺伝子

ABO遺伝子のゲノムマップ状態をみてみました。(図1)


図1:ABO遺伝子のゲノムマップの様子

UniGeneがABO遺伝子に分類した転写産物は、大きくわけて3種類あるようです。
メインの”ノーマルなスプライシングパターンを持った”ABOの転写物群は、サブクラスタ番号#5から#9です。#9がもっともメジャーなスプライシングパターンのようです。このサブクラスタ#9には、蛋白質コード領域が登録された配列が多数入っています。その他の#5から#8までは、マイナーなスプライシングバリアントのようです。#1から#4は、いわゆるイントロンに落ちるNon-codingRNAの候補なのでしょう。もっとも変なゲノムマップ状態を示すものは、図1の右上の緑色の帯になったいるサブクラスタ番号#10です。これは、どうも転写構造がまったく違うようですね。ゲノムマップの結果は、逆鎖ですし(「AssEST」で緑色はコンプレイメタリーの色です)、エキソン−イントロン構造もまったく異なります。遺伝子の定義にもよりますが、これは、まったく別の転写ユニットと考えてよいのではないでしょうか?
このABO遺伝子のUniGeneクラスタでは、ふたつの異なる転写ユニットがひとつの分類されているようで(それは、機能的に意味があるのかもしれませんが、構造的には異なっていると考えていいでしょう)、マイナーだけどスプラシングバリアントもあるようだし、血液型と構造はおそらくおおいに関係あるだろうし、されどABO遺伝子いうことでしょうか。しかし、配列をBLASTして、#10の転写配列にヒットして、UniGeneたどって、「あABOか」でスクリーニングから落ちてしまっているとしたら、この逆鎖の配列はあまり日の目をみないということになって、かわいそうです。。。
転写配列そのものと話しではないのですが、ABO遺伝子は、生体内で”血液型を決める”という役割の蛋白質をコードしているのではなく、たまたま血液型を判断するために使われているというか、この蛋白がナチュラルな抗体を生体内に持っていて、それが原因で、異なる血液どうしを混合したときに凝集するわけですから、本来の機能の違いというのにも興味があるところです。ほかにも、同じような蛋白質は数あるのだけれども、なぜ、このABO遺伝子がコードする蛋白質が血液型の判定に便利なのか、機能的な側面から勉強してみたいです。