ABO遺伝子の転写配列オーバービュー

では、もっともメジャーなABO遺伝子の転写物クラスタであるクラスタ番号#9の様子を見てみましょう。(図2)
この図が全体のアライメントの様子をしめしたものです。なお、参考のためにゲノムマップの様子(図1)を下にしめしておきます。


図2:ABO遺伝子の転写配列のアライメントの様子

全体に気が付いたことを箇条書きにしてみました。

  • 5'UTRが短いですが、日本のFLJのプロジェクトで読まれた配列があるようです。こんなに5'UTRが短いmRNAも珍しいですね。
  • 3'側はPoly(A)の痕跡は、転写配列上ではみあたりません。これは、逆鎖側で転写されているであろうサブクラスタ#10の転写物が邪魔をして、ESTがないようにみえているということなのでしょうか?また、サブクラスタ#7が、ゲノム上で#9のさらに3'側にエキソンを持っていますので、3'側のスプライシングパターンはもっとあるのかもしれませんね。
  • アミノ酸変化多型(non-synonimous SNP:Single Nucleotide Polymorphism)がかなり多いようです。「AssEST」では、dbSNPの登録配列を転写配列上にマップしてアミノ酸変化多型のアノテーションを付与しています。さらに、転写産物をアライメントして見えてくるSNP候補を予測して提示しています。正確な数は、別途報告します。これらのSNPが、血液型と関係があるのでしょうね。
  • 蛋白質コード領域の登録がまばらなものがあるようですね。それぞれの配列の登録した年代を確認してみましょう。
  • ところどころ赤くなっている領域があるので、マイナーではありますが、小さなデリーションか、1塩基より多い塩基置換がある箇所があるようです。これも、血液型に関係するのかもしれませんね。

これからは、ABO遺伝子を題材として、いろいろなことを、すこしづつ報告していきたいと思います。


図1:ABO遺伝子のゲノムマップの様子