総合科学技術会議で平成19年度の科学技術予算の方針がしめされました。

平成18年10月27日(金)に、安倍総理を迎えて、第60回の総合科学技術会議が開かれました。この総合科学技術会議では、平成19年度の科学技術に関する重点課題と予算配分の方向性が決定されました。また、独立行政法人国立大学法人の評価データも出ています。

総合科学技術会議とは

 わたしが勝手に思っているのは、省庁を超えて、日本の科学技術の発展に関する政策の概要を決める会議体です。実際には、大きな方針にのっとって、分野別、目的別に具体的な課題設定と予算付けをしていくところです。ですので、ここの会議において、予算の大枠はほとんど決まります。最後、まとまった文書はよくわからないところがあるのですが、原則として議事録や資料がすべて公開されていて、それらをシーケンシャルに見ていくとリアリティのあるやりとりや資料があって、面白いと思います。全部公開されているのは、ある意味、出席しているひとびとには、よい意味でも悪い意味でもプレッシャになっているでしょうね。

大きな方針は

PowerPoint2枚にまとめられています。
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu60/siryo1-1.pdf

  • 第3期科学技術基本計画
    • 成果を国民・社会に還元する科学技術
  • 基礎研究の抜本的推進と分野ごとの研究開発戦略

だそうです。
 特に、「イノベーション」という言葉がいっぱいでてきます。「イノベーション25」*1というのがあって、「イノベーション25」の柱となる事柄の政策ロードマップを作ることが第一番目にあげられています。
 わたしは、「イノベーション」という言葉について、正確にその意味をしりません。この言葉には、すでに共通の認識が存在しているのでしょうか?もし、共通認識が存在していないのであれば、科学技術の大きな方針を示す言葉として、イノベーションを使うということは大きな方針に曖昧さを呼ぶことになります。Innovationを辞書で引くと、「新しく取り入れたもの、革新{かくしん}、改革{かいかく}、刷新{さっしん}、新機軸{しんきじく}、工夫{くふう}したもの」というこのなので、革新や工夫がどんどん行われるような施策をしますよ、ということなのでしょうね。

問題は、国のプロジェクトに順位付けをつけているところです。

平成19年度概算要求における科学技術関係施策の優先順位付けについて
ライフサイエンス分野はどうなっているかというと、

だそうです。
ゲノムネットワークとか、そういうのはどこにいってしまったんだろう。詳細な順位付けも公開されているので、風呂上りにでもビールのみながらみてみますが、なんだかよくわからないけど、臨床へ応用しろということなのでしょうかね。ゲノムが解読されて、やっとバイオテクノロジの本格的研究がスタート台に立ったのが今であるというのが、この業界に係る方々の共通認識のように思っていたので、これかれは、トピックに流されず、きっちり基礎を固めることが勝つためには絶対必要なことだと思うのはわたしだけでしょうか。。。

*1:これは安倍首相が所信表明演説で提示された方針で、技術革新の長期戦略は「イノベーション25」と題し、医薬や工学、情報技術(IT)などの分野別に2025年の技術変化を予測しながら重点投資分野を絞る。高市早苗技術革新担当相の下に10月に検討チームを設置し、来年2月ころに対象技術を選定する。総合科学技術会議経済財政諮問会議の議論を経て、来年6月をメドに閣議決定する「骨太方針2007」に盛り込む方向だ。