FGFR1とLETM2の遺伝子の重なり

 FGFR1とLETM2よく見てみると、オーバーローカスOverLocusしていませんでした。(本当にオーバーローカスしていない??)
図1は、FGFR1とLETM2のゲノムマップを引いて見たものです。FGFR1とLETM2は、転写されるゲノムのストランドが逆で、一見、転写産物の3'側どおしがOverLocusしているように見えます。しかしながら、赤枠の部分を拡大して、図2のように塩基配列までよって見ると、ゲノム上のある位置で両側にわかれています。両方の遺伝子とも、そこからさらに、エクソンが飛んで存在しているように見えますが、おそらく配列の終端部分の品質のよくない部分が飛んでマップされたのだと思います。ですので、確実にオーバーローカスしているという確証は得られていないと思います。
 ところで、この遺伝子の境界領域のゲノムには、FGFR1側から見ると(A)rich(LETM2から見ると(T)richな領域があります。また、図1でもおわかりのように、FGFR1もLETM2も両方の3'側の領域は、へんてこな転写産物がいくつか存在しています。


図1:FGFR1とLETM2のゲノムマップを引いた見た図


図2:FGFR1とLETM2の境界線を塩基配列が見えるところまでズームした図

周辺のおもしろい配列・・・

 ひとつおもしろいなと思うのは、図1の青の枠でかこんである転写物群(サブクラスタSubcluster番号#11と#7)です。この転写配列群(図3が各転写配列のゲノムマップの様子)は、UniGeneでは、LETM2のクラスタに分類していますが、図3で示すように、登録配列の方向とは逆*1にマップされているものもあることから、ひょっとするとこのサブクラスタには、FGFR1のアンチセンスとして転写されているnon-codingRNAとFGFR1の3'側の配列が混在しているのかもしれません。
 登録されているESTの配列が増えてきて、変な転写産物にも厚みがでてきて、リアリティがあがっているのが興味深いです。


図3:FGFR1とLETM2の境界近辺にあるエクソン-イントロン構造をとらない転写配列

[FGFR1][Over locus][non-codingRNA] (A)richでした

里山さんのコメントに従って、青枠で囲まれた変な転写産物クラスタのゲノム領域が(A)richではないかどうか確かめてみました。(A)richでした。



図4:FGFR1とLETM2の3'UTR近辺のゲノム配列は(A)richか? 変な転写産物の正体・・・

*1:「AssEST」では、緑色はコンプリメンタリーのシンボルカラーです。各転写配列について緑になっている場合は、表示されている配列が登録配列そのままではなく、コンプリメンタリな塩基配列であることを示しています。登録配列の方向が、必ずしも正しく登録されていないということもありますが、転写方向の目安として利用できます。なお配列の読み取り方向もデータベースに格納されていて、配列の上にマウスをもっていくだけで、画面上部のinformation領域に表示されます。