第13回マリンバイオテクノロジー学会大会に企業展示

 広島大学東広島キャンパスで、2010年5月29日土曜日から30日日曜日まで行われている第13回マリンバイオテクノロジー学会に企業展示しました。

 マリンバイオは、一昨年の京都大学で行われた第11回から企業展示ははじめて3回目の出展です。コンパクトの学会ですが、わたしにとっては、新たな発見を得ることができるたいへん興味深い学会です。モデル動物ではなく、実際にフィールドで生きている生物たちのほとんどが、単独で生きているのではなく、”共生”関係のもとに生きているというイメージを与えていただいたのがこの学会です。
一般講演プログラムが公開されていました。http://www.med-gakkai.org/jsmb-13/pro/program_i.pdf
今回は、夜行バスまでの時間がたっぷりあったので、市民公開シンポジウム「山河森海のつながりがもたらす豊かな幸」に参加してきました。(聞いてただけですが)これも、最高でした。(下に詳細記載しました)

共生と「ゲノムの縮小」

 海洋研究開発機構を中心にした研究者の方々が、深海に生息する貝(深海性二枚貝シロリガイ)の細胞内に共生するバクテリアに関して発表されていました。共生しているバクテリアは、”自由生活型”と比べて”ゲノムが縮小”しており、さらに、共生しているバクテリアでなくなっている遺伝子の中には増殖に関連するものが消
えていたり、輸送系の遺伝子が消えていたりするそうです。また、いくつかの貝のゲノム比較を行われた結果、貝の生育環境によって欠損遺伝子が異なることもわかったとのこと。このゲノム縮小のプロセスが、真核生物のミトコンドリア葉緑体なとのオルガネラの進化が太鼓の向かいに経た過程と類似しているという考えをしめされていました。つまり、シロウリガイ類共生菌は、ゲノム縮小進化の中期にあたる生物で、ゲノム縮小進化途中にあるのではないかという考えです。

次世代シーケンサの利用に関するシンポジウム

 次世代シーケンサの利用は、ゲノム情報のない生物種への分子生物学的なアプローチに期待されているようです。また、メタゲノムについても、とりあえず読んでみました というところから、先に進んでいるようです。

市民公開シンポジューム「山河森海のつながりがもたらす豊かな幸」

 海の豊かさは、豊かな森の栄養分によってはぐくまれているということは、かなりのひとが認識するようになっていると思いますが、そのきっかけを作った方”牡蠣の森を慕う会代表で、NPO法人森は海の恋人理事長の畠山重篤さん”がメインのパネラで、”西条・山と水の環境機構理事で西条酒造協会理事の前垣壽男さん”、”安芸津漁業共同組合代表理事組合長の柴孝利さん”の三名のお話を聞きました。まとめ役は、”広島大学生物生産部准教授の長沼毅さん”。
 わたしの新しい知識は、”鉄がプランクトンを育てる”というアメリカの海洋学者ジョン・マーチンの鉄理論です。(文芸春秋:本の話より)鉄が水の中に多くあることが、プランクトンを育てるのには良いという話でした。もうひとつ驚いたのは、この東広島の地質は、鉄分が豊富であるということ。安芸津の海は、狭いのに海産物には恵まれているとのこと。牡蠣の産地としては有名なのだそうです。さらに、海の底に湧き出る伏流水が魚の成育に関連しているのではないかという柴さんのお話も衝撃的でした。
 もうひとつ。山川森海ということだけれども、最近は、都市を考えずにはおられないから、山川森海に都会もいれたほうがいいという話が出ました。そうしたら、最近では地産地消といわずに、やっぱり地産都消を考えていかなければならないということになっているそうです。そうでないと食っていけない。